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ひとりでドイツ七日間【01:序】

もう、ずいぶんと時間が経ってしまいました。
あれは9月。
いまは12月。

1週間ほどひとりでドイツ旅行に行ってきたのは、夏が終わり、上着を羽織りはじめるころでした。

ひとりでドイツ七日間

ドイツ、と聞いて何を思い浮かべますか?

ビール。

・・・。

ビールと・・・。

7月の暑い盛り、「ドイツ・・・つまりビール・・・」くらいの知識で急に思い立ち、勢いで航空券を探し始めました。格安航空券のサイトでもANAのサイトでもあまり差がなく、往復で約23万円。クリックするのに1時間悩んで、さらに1日寝かせて、翌日もマウスに指をかけたまま15分は躊躇していましたが、やがて熟成された思いは堰を切り、ついに勢いは奔流となって指を動かしたのでした。カチッ。

なぜドイツなのか。それは以下の理由によります。

  • 妹一家がドイツに住んでいる。
  • 羽田⇔フランクフルト間の直行便が就航した。(だからANA一択)
  • ちょうど9月に休みを取る予定だった。

特に1番目の理由が大きいです。というかそれがほぼすべてです。
妹の旦那が5年間の期限付きでドイツに転勤になり、一家4人が現在デュッセルドルフで生活しています。なので《彼らがドイツにいるうちに行ってみたら?》と親類から何度か言われ、それが最近になって《まだドイツ行かないの?》に質問が変わり、急かされるようなプレッシャーを感じ始めていました。(ちなみにまだ1年目なのであと4年の猶予があるのに!)

羽田空港
羽田空港 国際線ターミナル

ドイツに行こうと思う、とつぶやいたところ、皆が口をそろえてこう言いました。

「ドイツはよい」

会社を辞めたタイミングでドイツを1ヶ月ほど旅した友人が2人いて、彼らの言によると、どうもドイツは人が優しいみたいでした。行く先々で現地の人によくしてもらったといいます。案内してもらったり、おごってもらったり、片言でおしゃべりをしたり…。しかし彼らはそもそも人好きのするキャラであり、仏頂面で言葉少なで天然パーマ伸び放題の男が果たしてよくしてもらえるのか・・・という不安はぬぐえませんでした。

一人旅は好きなのですが、どうにも現地の人とふれあうというスキルが私には欠けています。他人の旅行記で現地の人とのおもしろエピソードを読むにつけ、「わしにはむりじゃ…」と唇をかむ人生を過ごしてきました。しかしそうやって《一人旅とはこうあるべき》という価値観に固執し二の足を踏んでいる時間がもったいないと気づき、自分なりの旅を楽しむことに決めました。つまり、現地でハプニングが起こればおもしろい小話もできましょうが、そうではなく、そもそもハプニングを起こさないように入念に準備をするという選択をしたのでした。

待合所
出発ゲート

ドイツのすばらしい点は、鉄道網が発達していていわゆる「乗換案内」が完璧というところです。

たとえばiOS用の無料アプリにDB-Navigatorというものがあります。これはドイツ鉄道(Deutcshe Bahn)公式アプリで、日本と同じように出発地・目的地・時刻などを入力すればルートを表示してくれます。しかも私鉄やバスも網羅し、チケットの予約すらできます(別途DB-Ticketというアプリが必要だったかも)。

それによって1週間の予定を疎漏なく構築し、列車の遅れや乗り過ごしを勘案して前後数件のパターンもあらかじめ出しておき、現地でパニックにならないようにしました。毎回駅でチケットを買うのも面倒ですしトラブルの元ですので、ジャーマンレイルパスというフリーパスも買いました(これは日本で買っておく必要があります)。青春18きっぷのようなものです。

もちろんホテルも事前にネットで予約できます。バスの乗り方、観光スポット、安全情報、チップを渡す場合と渡さない場合、ペットボトルの捨て方などもいくらでもネットで調べられます。こうして何もかも整えた状態で後顧の憂いをなくし、深夜1時発のフランクフルト行きのボーイング787に搭乗したのでした。

つづく。

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