◆2012/11/18 小説集『突き抜け5』できました!◆
『眠るのにいい時間』という短編小説を書きました!こちらで買えます。
日本語シャベレマース。
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◆2012/11/18 小説集『突き抜け5』できました!◆
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フランクフルト空港に降り立ったといっても、空港自体のつくりは日本のものと大差なく、案内表示がドイツ語というくらいであまり実感はありません。となると最初にマジドイツに接する関門はパスポートコントロール(入国審査)かな、と思いました。なにせマジドイツ人と面と向かうのです。
入国審査の列に並んで頭の中に渦巻いていたのは、
「グーテンモルゲン」
の一言でした。「おはようございます」です。少し明るめの口調で、はっきりと聞こえるように、ほんのりと笑顔で発するイメージ。係員の心証を良くするというより、最初に接する『ドイツ』への私の所信表明のようなものです。ドイツですばらしい一週間を過ごしたいという意思を明確にするのです。
カウンターの向こうには大柄で強面の男性係員。大きく息を吸い込む。
私「グゥーテンモーゲン!」
係員「・・・(無言でパスポートを見る)」
私「・・・」
係員「・・・(無言で私の顔を見る)」
私「・・・」
係員「・・・(無言でパスポートを返す)」
フランクフルト空港内
きっと発音がよくなかったんだな。。係員にも威厳は必要だしね。。とにかく荷物を拾って出発だ…!
パンとか売ってる(けど機内食食べたから腹いっぱい)
空港からは鉄道で移動になります。今回はジャーマンレイルパスで乗り放題ですが、まずは現地の駅で今日からパスを使いますよというバリデーション(有効化)が必要になります。バリデーションはドイツ鉄道(以下DB)の窓口で行います。下調べが得意な私は窓口のオープン時間が7:00であることを熟知しており、まだ30分くらいあるなーと思って窓口の場所だけ確認しようと行ってみると
もう開いてる!
すでに予定が狂ってしまいました。別に困るようなことではないのですが、ネット上のドイツ語の荒波をかいくぐって7:00オープンという情報をつかみとったのに違ったんかい、他にも下調べの情報が違ってるケースがたくさんあるかもな…という不安が小刻みに出ては消え、出ては消えていたのでした。
気を取り直しイケメンのいる窓口に向かいます。
私「グーテンモルゲン!」
イケメン「Good morning!」
え、英語…!
なるほどここは国際空港、鉄道の窓口は外国人の旅行客とか多いもんなーと10msくらいで納得し、レイルパスとパスポートを取り出して「バリデーション、プリーズ」と言うと「オフコース!」とイケメンはさわやかに笑顔を振りまきました。その瞬間なんだかすっごい緊張がほぐれました。笑顔すごい。さらにイケメンは「今日から使うの?」とか「使う日にここに自分で日付を記入してね!」とかをわかりやすい英語で話してくれて、すっごく助かりました。会話すごい。人間社会の基本はコミュニケーションなんだな、と改めて心に刻まれました。
鉄道の券売機(使いづらいらしい)
さあ列車に乗りましょう。駅は長距離駅(Fernbahnhof: ファーンバーンホフ)とローカル駅(Regionalbahnhof: レギオナルバーンホフ)があり、ICEなどの特急に乗る場合は長距離駅、S-Bahnなどのローカル線に乗る場合はローカル駅を使います。そういえば初日のルートを書いていませんでしたが、これからバッハラッハというライン川沿いの町へ行き、そこから遊覧船でライン川を下り、どこかで降りてケルンを経由してデュッセルドルフに向かいます。もちろん列車や船に乗り遅れた場合、降りる駅や船着き場を間違えた場合などのリカバリプランも完璧です。様々なケースを想定して経路をプリントアウトしてきています。これが心の余裕につながるのですから安いものです。
ローカル駅の雰囲気
ローカル急行(RE)
バッハラッハへはローカル線でマインツを経由して行きます。なのでローカル駅へ。ホームは地下にあり、総武線快速の馬喰町駅あたりを想わせる無骨で味わい深い印象です。列車を待っている人の佇まいは日本のそれと違いありません。
ドアは手動(ドイツ語の注意書きかっこいい)
ライン川とマイン川が合流するあたりを渡る
列車内はボックス席で、私は座らずに立って乗りました。なんだかまだ座るのは早いという気がしてしまったからです。車窓からはどんより曇った空と、控えめに窓を打つ小雨の粒が見えました。心は少し臆病になっていたものの、ワクワク感だけはパンパンに膨れ上がっていました。この時点でもまだドイツに来た実感が閾値を超えておらず、ほとんどが期待によるワクワク感に占められていたのです。その実感が一気に閾値を突破したのは、乗り換え駅のマインツで下車した時でした。なぜなら空港に着いてから一歩も外界へ出ておらず、マインツで初めてドイツの空の下に降り立ったからです!
マインツの駅舎
マインツの駅前広場
うわー!ヨーロッパっぽい!
ドイツっぽいのかどうかよくわからないけど、ヨーロッパっぽいのは確かだ!
建物とか、パラソルとかそれっぽい!
その土地に来たという実感を味わうには、空と空気が必要なのだと思いました。台湾には台湾の、インドにはインドの空と空気があり、ドイツにもそれがあるのでした。空気は肌で感じる空気だけでなく、鼻で感じる匂いもあります。ようやく遠い時差7時間(サマータイムなので)にやってきたという気持ちが形になったのでした。
つづく。