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ちょっと前、海の日あたり、我が子がヘルパンギーナに罹患した。初めて聞く病名だった。

最初に高熱が出たので、会社を休んで病院(いつも空いている)で診てもらうと、のどの腫れから来た熱ですねー、てんで抗生物質を処方してもらって自宅療養。しかし熱が下がらない。

ミルクも離乳食も一口だけごっくんしたら大泣きしてイヤイヤするし、口の中に指を入れてしきりに何かを気にしているので、おっ広げてよく見ると舌先にプツプツと口内炎がある。こんなに口内炎があるのはおかしいってんで、翌日に配偶者に別の病院に連れていってもらったところヘルパンギーナであるとの診断がくだった。

プール熱、手足口病と並ぶ三大夏風邪のひとつ、ヘルパンギーナ。高熱が出て口内炎がたくさんできるらしい。まんまの症状だ。配偶者によると、のどの奥にもたくさんの口内炎があったらしい。その口内炎が潰れてしみるんだそうだ。考えただけでつらい。

熱が下がるのを待つしか対処のしようがなく、自分が1日、配偶者が3日休んで看病した。我が子はつらくてほとんどの時間泣いていた。可哀想で可哀想でこっちもつらかった。我が子には笑顔でいてほしいと心から思った。

0歳の記憶なんてほとんど残らないから、本人がつらいのは今この瞬間だけかもしれない。でも親の記憶には積み上がっていく。親が代わりにつらい記憶を引き受け、我が子に再びそんなつらい思いをさせたくないと手を尽くす。そうして笑顔を増やしていく。

仕事で疲れた帰りの電車で、よくスマホで我が子が笑っている動画を観る。本人は笑った記憶はないかもしれないけど、親の記憶には積み上がっていく。何度も何度もその笑顔に助けられていく。