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5月から9月まで夏だと思う。

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◆2012/11/18 小説集『突き抜け5』できました!◆
『眠るのにいい時間』という短編小説を書きました!こちらで買えます


小説を書き写す自己流鍛錬。

小説がなかなか書けないので模索中です。
ひとつ試しにやってみているのが、既存の作品の完全トレースです。

いつも突き抜け派の〆切に追い込まれて書くときはデニーズなりモスバーガーなりに行ってノートPCに向かうわけですが、それとまったく同じ状況を再現して、他人の小説をそのまま写して書くのです。

まずデニーズに足を向ける段階から「これから自分の小説を書きにいくんだ」と脳に思い込ませます。デニーズに着いたらいつもどおり禁煙席(できれば背後が壁)にすわり、メニューを眺めて白玉宇治抹茶ミニパルフェとドリンクバーを注文します。季節のデザートでもよいです。それからおもむろにノートPCを開き、原稿フォルダに新しいファイルを作って書く態勢を整えます。いったんドリンクバーでドリップコーヒーを注いできてブラックのまま一口すすり、これから書くお話について考えます。

もちろん丸写しするわけですけど、あくまで自分が創り出すかのようにふるまうのです。これが大事なのです。

書き写す作品をテーブルに広げ、横目で見ながら一文ずつ丁寧に打ちこんでいきます。ここで重要なのはスピードです。手本があるからといって、タイピングゲームのように息つく暇もなく指を動かしてタタタタタタ、ターン!とドヤ顔でEnterを叩いてる場合ではありません。自分が小説を書くときと同じペースで書き写すのです。私はいつも、一文書いたら推敲し、また一文書いたら推敲し、一段落書き終わったら段落全体を推敲し、ときどき最初に戻って全体を俯瞰して推敲する、といった超スローペースです。なので、書き写すときもまったく同じように一文書いたら推敲、書いたら推敲、書いたら推敲を繰り返します。他人の文章なのに、その文章で本当によいのか真剣に考えるふりをするわけです。

要するになにがしたいのかといいますと、ただ文章をトレースしたいわけではなくて、作者の創作時の思考の過程を自分の中に再現したいわけです。

自分の中には、自分の思考パターンしかありません。そして文章を組み立てるときのクセはもはや自分の思考パターンとは不可分になっています。それをストレッチ運動のように解きほぐすことで、少しずつですが表現の幅が広がりそうじゃないですか。絵でも音楽でもマネから入るものですし。ただ、英単語だけ覚えても流暢な英会話ができるようにならないのと同じで、ボキャブラリや文体や言い回しだけ暗記してもうまくいきそうもありませんので、他人の作品を擬似的に自分のアウトプットに置き換えることで可能な限り自然に体になじませようと試みている次第です。

こんなん言うてますけど、まだ実際にやってみたのは以下の二つだけだったりします。

梶井基次郎 『桜の樹の下には』
菊池寛 『小説家たらんとする青年に与う』

しかもまだ慣れないので、ついうっかりドヤ顔でEnterを押したりしてしまいました。この鍛錬法の効果が現れるかどうか、それがわかるのはまだまだ先になりそうです。

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